真夜中のコーヒー

 

買い物して、カラオケに行って、ファミレスでご飯を食べ、公園でおしゃべりして…

憂鬱な中間試験も終わり、俺たちは開放感でいっぱいだった。

気がつけばもう0時近い。でも明日は土曜日。

学校に行く必要もない。

時間を気にせず、気の置けない友人達と過ごしていられる貴重な時間。

そんな楽しい夜が終わるのが名残惜しいと言ったら、

獄寺君が家に来ないかと言ってくれたので一緒に行った。

ううん、一緒に帰った。 

(山本は明日、朝から練習があるからと帰って行った。

 帰り際、獄寺くんに何か耳打ちして、殴られてた。何を言ったんだろう?)

 

獄寺君の家に着いて、何か飲みますか、と言われたのでコーヒーがいい、と言ったら驚かれた。

「コーヒー?ああ、ミルクたっぷり入れますか?それとも泡いっぱいのカプチーノ?」

「ううん、何にも入れないで。うーんと濃いヤツ。」

「でも十代目、コーヒーあまりお好きじゃないでしょう?それにこんな遅くに飲むと胃によくないですよ…」

「自分はよく飲んでるじゃん。」

「いや、俺は慣れてますから…」

渋る獄寺君にもう一回お願いして、濃いブラックコーヒーを入れてもらった。

前に獄寺君家に来た時はジュースをもらって飲んでいたけど、そのまますぐに眠気に誘われあっさり夜は終わってしまった。

気がついたら俺の上には毛布がかけられていて、空には日が高く昇っていた。

獄寺君はもう起きて本を読んでいて、俺が起きたのに気がつくとニカッと笑ってオハヨーゴザイマス、って言ってた。

 

獄寺君のあの笑顔は好きだった。でも、俺は獄寺君ともっと話してたかった。

だから、今日はコーヒーを飲むんだ。

それで起きてて、獄寺君と話すんだ。


獄寺君が入れてくれたコーヒーはすんごく苦かった。

それでも我慢して全部飲んだのに。 

「…十代目?こんなところで寝たら風邪ひきますよ?俺のベッド使って下さい。」

そんな風に優しく話す獄寺君の声を聞きながら、俺は自分がふわふわ、温かい手に抱えられて運ばれて行くのを

感じていた。

 

だめだ。寝ちゃ。

寝たら、夜が終わっちゃう。

折角楽しい夜なのに。

折角獄寺君と一緒の夜なのに。

もっともっと、いろいろ話したいのに。

寝たくない。

だからコーヒー飲んだのに。

 

 

 

 

すやすやと、幸せそうに眠るツナ。

その寝顔を見た獄寺はふっと笑顔を浮かべ、キッチンに行ってもう一杯コーヒーを入れた。

ツナの睡眠の邪魔をしないように電気を落とす。

とびっきり濃く入れたコーヒー。

何となく慣れてしまったけれど、イタリアで飲むコーヒーに比べるとやっぱり味が違うと思う。

それでも。

 

無理して起きてなくていいんです、十代目。

こうしてあなたの寝顔を見ながら飲むコーヒーは最高においしくて

俺はそれだけで幸せですから。

 

END    

                                                                                  Presented by Rayri Minazuki on 15. Sep

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