「…十代目?どうしたんスか…?」
俺が急に黙ったからか、それとも何か雰囲気がおかしいと察知したか、獄寺君は不安げに尋ねてきた。
獄寺君が俺が洩らしたほんの小さな一言を覚えていて、俺のためにバイトまでして、プレゼントをくれたことはすごくうれしい。
でも、でも。そのことに対する感謝よりも前に、この一週間一緒に居られなかったことへの寂しさのほうが文句となって
口からでそうになったときに
突然、ギュっと抱きしめられた。
「十代目ぇ…」
「え…えぇ〜!!!どどどどうしたのさ獄寺君!!!」
突然のことに驚いた俺の心臓は急にすごい速度で鼓動を始めて、全身が強ばって。
そんな俺を獄寺君はますます力を込めて、でも優しく抱きしめてきて。
「寂しかったです十代目!!全然一緒にいられなかったんスもん!」
そう言ってなきつく獄寺君の声は子どもみたいだった。思わずさっき口にしかけた不満も忘れて
かわいいな、なんて思ってしまった。
「どうしても金が足りねーからバイトと思ったんスけど…短期なかわりにこの一週間はみっちり働けって言われて…。
毎日毎日17時からで遅刻も出来ねーから、放課後ご一緒させていただくどころか十代目をお送りする時間もないし、
昼休みもどうしても眠くて…。
十代目と一緒にいられる時間が少なくて、本当に寂しかったです!もうバイトなんてしたくないッス!」
(うわあ…。それ、反則だよ獄寺君。そんなこと先に言われちゃったら俺、何も言えないじゃんか…)
そう言ったあと、獄寺は急にばつが悪そうにツナから離れた。
本当に、獄寺君はストレートだ。思ったことをまっすぐに俺にぶつけてくる。
俺だって、本当は文句が言いたかった訳じゃない。寂しかった。一緒にいたかったっていう気持ちを伝えたかったんだ。
「あ、す、スイマセン十代目!!!い…いきなり抱きついてしまって!ヤ、ヤローに抱きつかれたって嬉しくないですよね。」
「ううん、嬉しいよ。」と思ったけれど、やっぱりツナにとってそれを口にするのは恥ずかしい。
その気持ちは隠して、ツナは代わりに
「リング、ありがとう。すっごく嬉しいよ。」
と言った。途端に獄寺の顔は輝きだして、さっきまでの泣きそうな顔はどこへやら、満面の笑みを浮かべた。
「よかったです!!やっぱり十代目のお選びになったものだから間違いないっス。すげえ素敵なデザインです!」
「うん、本当に格好いいよね。…でも、俺がうれしいのは、このリングをもらったことじゃなくて、獄寺君がこれをくれたこと。」
「え?」
「獄寺君が、俺の言ったことを覚えててくれて、これを買うためにバイトまでして、俺のために時間を使ってくれたこと。」
「な、な、何おっしゃるんですか十代目!右腕として当然のことです!勿体ないお言葉です!」
「ううん、当然なんかじゃない。しかもこれ、林間学校でいったあの町にしか売ってないやつだよね。
あんな遠いところまで行って買ってきてくれたんだよね。今まで、俺のためにここまでしてくれる友達なんていなかった。
有り難う。」
そう言い終わったとき、目の前の彼は真っ赤になっていて、獄寺君、照れてる、と思った瞬間
「十代目ぇ〜!」と小声で、でも叫びながら勢いよく抱きついて来た。
男相手にかわいい、はないと思うけど俺はそんな獄寺君をかわいいな、と思ってしまって。
今度は小さくぎゅっと抱きしめ返して、俺は言った。
「ちょっとの間だけ、こうしてていい?それで後で、コンビニでケーキを買って、二人でお祝いしよう。
この一週間足りなかった分、いっぱい話そう?」
今日はきっと、今までで一番嬉しい誕生日。
Happy Birthday ツナ!!
END(→後日談) Presented by Rayri Minazuki on 19.Oct.2008