「あ、もうこんな時間っスね!俺、そろそろおいとまします十代目!」
「あら獄寺君、もう帰っちゃうの?よかったら晩ご飯食べていって?」
「いえいえお母様、お気遣いなく!では十代目、ゆっくりお休み下さい。また明日お迎えにあがります!」
…結局、昨日と同じ会話が繰り返されて
獄寺君は帰って行った。
昨日よりも焦った様子で。
「あんなに急いで…。何か用があったのかしらね。…ツっくん?」
そうだ、確かに何か用事があるだけかもしれない。
俺に言えないような?
怪しい、絶対に怪しい。
獄寺君何か隠してる。
「母さん、俺ちょっと出かけてくる!」
「え、ツっくん、ご飯は??」
母さんの問いかけに背中で応えながら、俺は獄寺君の家の方角へと走って行った。
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必死で走ったけど、獄寺君には追いつけなかった。
獄寺君どんだけ急いでたんだよ…それとももしかして家に帰ったんじゃなかったのかな?
それでも獄寺君のマンションの前までたどりついたとき、上の階を見上げると
今まさに部屋に入ろうとしている彼の姿を見つけた。
「ごくでらく……ッ」
せいいっぱい声を張り上げて名前を呼びかけようとしたとき、それより先に聞き覚えのある声が響き渡った。
「ごくでらーー!!おせーよー!」
「うわっ!な…何だ!びっくりするだろこの野球馬鹿!」
「ひでーなー、遅れたのは獄寺だろー。外寒かったんだぜー。」
「ーーーーー!」
「ーーーーーーー!」
後の会話はよく聞こえなかったけれど、そうして獄寺君と山本は獄寺君の部屋の中に入っていった。
そっか、獄寺君、山本と約束してたんだ。
ここのところいつも夕飯前に帰っちゃうのは、山本と一緒にご飯を食べるためなんだ。
でも…なんで?
何で俺には言ってくれないの?
いつも三人でいるんだから俺も誘ってくれたっていいじゃんか。
…ううん、違う。
獄寺君と山本が俺を誘ってくれなかったことが嫌なんじゃない。
獄寺君と山本が二人で居るのが嫌なんだ。
しかも、獄寺君のマンションで。
…どのくらいたったんだろう。
道端で放心したような顔をしている俺を
通りがかった人が奇異の目で見ながら過ぎて行く。
帰ろう。
母さんが待ってる。
うちに帰って、ランボやイーピンと一緒に、みんなでわいわいご飯を食べよう。
そう思っても歩き出しても、家へ向かう足どりは重かった。
うちで、チビ達やリボーンと一緒に大騒ぎしながら食卓を囲む情景を想像しようとしても
獄寺君と山本の楽しそうな様子が残像みたいに目に焼き付いて離れない。
「やっぱりいやだ…。」
道のど真ん中でつぶやいた俺は、獄寺君の部屋へ向かって階段を駆け上がった。